セラピスト歴20年を振り返る③キラキラしたイメージは捨てろ!指の激痛と深爪に耐えた修行の日々
受ける側から、施術する側へ。 怠惰な学生生活に別れを告げた私の、新しい生活が幕を開けた。
当時の記憶を辿ると、私が通うことになったのは、週に三回、平日の日中に授業を受けるコースだった。約二ヶ月で卒業できる最短ルートで、料金はおよそ三十万円。(他にも平日夜だけのコースなど、様々な選択肢が用意されていた) 私のクラスは総勢で二十名以上いたが、男性はわずか三名のみ。年齢層は二十代が最も多く、次いで三十代、四十代といった具合だった。
さて、期待と不安の入り交じる中で始まったスクール生活だが、開始早々、私にはどうしても乗り越えなければならない最初の試練があった。
「あだ名を付ける」ことである。
いや、ただあだ名を付けられるだけなら構わない。地獄なのは「自分から『○○って呼んでください!』と皆の前で発表しなければならない」という謎のシステムだった。 当時の私は、大学の友人たちから「兄さん」と呼ばれていた。しかし、出会って数分の初対面の人々に向かって、いきなり「今日から僕のことは兄さんと呼んでくれ!」と高らかに宣言するなんて、どう考えても頭のネジが飛んでいるヤツだと思われるに決まっている。 私は冷や汗をかきながら、無難で適当なあだ名を捻り出し、なんとかその場を丸く収めたのだった。
気を取り直して迎えた最初の授業は、座学だった。 細かな内容はすっかり忘れてしまったが、帰り際に明日までに足の骨の名前をすべて暗記してくるようにと宿題を出されたことだけは、ハッキリと覚えている。 さらに、指の呼称についても学んだ。親指は「親指」ではなく「拇指(ぼし)」と呼ぶこと。
(おお……なんか、専門職っぽくていいじゃないか!)
単純な私は、そんな専門用語の響きに無駄にテンションを上げ、上機嫌で記念すべき一日目を終えたのだった。
ここで、もし今後「台湾式リフレクソロジー」を習ってみたいという方がいれば、先達としてあらかじめ忠告しておきたいことがある。
それは……指が、とんでもなく痛くなるということだ。 痛い。マジで痛い。
具体的にどこが痛いのかというと、人差し指の第二関節の甲側である。 台湾式足つぼは、主にこの人差し指の第二関節を折り曲げ、その骨の角を使って足裏に刺激を入れていく。そのため、足裏との激しい摩擦により、皮膚が鍛えられていないうちは気が狂うほど痛いのだ。 本当に皮がむけて血が出る人もいるし、この痛みに耐えきれずにスクールを辞めていく人もいるほどである。
そして当然ながら、爪は極限まで短く切らなければならない。深爪ギリギリまで、だ。 そうなると、人によっては美しく飾った自慢のネイルアートを、すべて犠牲にしなければならない。実際、私のクラスでも初日からネイルを注意されている女の子がいた。 (さすがにそれは、入校前にお店側が伝えてやれよ……とは思ったが)
私が何を伝えたいかというと、セラピストという職業に対し、華やかでキラキラしたイメージを抱いて飛び込んでくる女性は少なくない。しかし実際の現場は、オシャレから遠ざかり、指の激痛をこらえながら日々ストイックに鍛錬を続けるという、まるで修行僧のような生活が待っているのだ。
それでも、一ヶ月も経つ頃には不思議と指の痛みは和らぎ、逆に爪を短く切っていないと気持ち悪くてウズウズするくらいには、身体がセラピスト仕様に仕上がってくる。 人間の適応能力というものは、本当に恐ろしい。
ちなみに私のクラスでも、残念ながら指の痛みによる途中リタイヤが出てしまった。 その子は普段、仕事でピアノを弾いているらしく、「これ以上痛みが続くとピアノが弾けなくなって困る」というのが理由だった。 もちろん、スクールの華やかな説明会では「指が千切れるほど痛くなりますよ」なんて恐ろしい真実は教えてくれない。もしこれから足つぼを習おうという方がいれば、どうか覚悟して臨んでほしい。
修行僧のような日々を乗り越え、スクールの全課程が修了すると、ついに卒業試験が立ちはだかる。 座学のペーパーテストと、実技テストだ。
ペーパーテストはマークシート方式だし、実技も受かるまで何度でも挑戦できるため、そこまで絶望的な難易度ではない。
だが、やはり実技試験となると少し緊張した。 実技の試験官は、いつも教えてくれている先生なのだが、普段は和気あいあいと楽しい授業をしてくれていた先生が、この時ばかりは急にシリアスな表情で採点シートにペンを走らせるのだ。無駄にドキドキしてしまったのを覚えている。
結果としては、一発合格。 クラスの中には一人、二人ほど不合格になってしまった人もいたが、私は何の問題もなくクリアした。
しかし、私の本題はここからである。 このスクールで学ぶうちに、「フットセラピー(運営元のサロン)に就職したい」という思いが、私の中で確固たるものになっていた。
(どうしても、フットセラピーで働きたい! だから、今度おこなわれる就職試験に絶対受かってやる!)
強い決意を胸に、毎日居残りをしては練習に明け暮れた。
ちなみに、スクール生が二十人強いる中で、そのまま直営店への就職を希望していたのは、意外にも半数程度だった。てっきりほとんどの人が就職希望だと思っていたので驚いたものだ。 中には「卒業したら、そのまま自分でお店を開く」と豪語するツワモノまでいて度肝を抜かれた。(いくらなんでも早すぎるだろ……と心の中でツッコミを入れたが)
そしてついに、運命の就職試験の日を迎える。 試験内容は、各店舗の店長たちが面接と実技の審査を行うというもの。 この一ヶ月半で心身に叩き込んだ技術をすべて出し切り、面接では「この会社で働きたい」という熱意を余すところなく伝えた。あとは結果を待つのみである。
手応えは、正直かなりあった。 もともと卒業試験の実技では、合格者の中でもA・B・Cのランク付けがあり、私は最高の「Aランク」をもらっていた。卒業生との練習でも「君、才能あるね! そのまま繰り返し練習すれば現場でも問題ないよ!」と太鼓判を押されていたのだ。
「これはもう、受かったも同然だな」
そう確信した私は、卒業試験が終わったその日の夜、彼女の部屋で盛大な就職の前祝いパーティーを開いて乾杯したのだった。
……今になって冷静に考えると、恐ろしい。 完璧なまでの、死亡フラグがビンビンに立っているではないか…
こころと体が癒される…
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